ビジネスをしていると、ふと考える瞬間があります。
「自分たちが本当に提供したいサービスと、求められているサービスって、ちょっとズレてるかもしれないな」と。
理想や信念を持ってつくったサービスが、必ずしも売れるとは限らない。
逆に「こんなことまでやるつもりはなかった」と感じながら、売れ筋に引っ張られていくこともある。
この「理想」と「現実」のギャップは、多くの事業者にとって悩みの種ではないでしょうか。
今日は、「提供したいサービス」と「ニーズのあるサービス」の向き合い方について、私自身の経験を交えながら綴ってみたいと思います。
「想い」は大切。でも“押し付け”になっていないか?
私たちは、誰もが「想い」を持ってビジネスを始めます。
・こんな社会をつくりたい
・こういう課題を解決したい
・このサービスこそ世の中に必要だ
その気持ちは、間違いなく原動力になります。
でも気をつけなければならないのは、「想い」が“独りよがり”になってしまうことです。
「良いサービスなんだから、分かってもらえるはず」
「世の中がまだ気づいていないだけだ」
「今は売れなくても、いつか必ず…」
こう思いたくなる気持ちはよく分かります。私もそうでした。
ですが、どれだけ素晴らしい内容でも、“今の相手”にとって必要なものでなければ、選ばれることはありません。
「本当に求められていること」は、案外地味
よくあるのが、「これは自分の本意ではない」「自分が本当にやりたいことじゃない」と思って避けていた仕事が、実は最も感謝され、繰り返し依頼される、というケースです。
たとえば、ネクストグループでも「戦略的なSNS運用支援」をしたいと思っていました。
ですが、実際には「SNSの更新代行」「短い動画編集」「LINEの配信文作成」など、一見地味に見える仕事のほうが強くニーズがあり、喜ばれていたのです。
最初は、「こんな作業的な仕事ばかりでいいのか?」と葛藤もありました。
でも、実際にクライアントさんと向き合う中で気づいたのです。
“自分たちにとっては当たり前のこと”が、“相手にとっては価値あるサポート”になっている。
この視点を持てるようになったとき、売上も信頼も、自然と伸びていきました。
「届け方」を変えると、やりたいことは実現できる
「自分がやりたいこと」と「相手が必要としていること」のギャップを埋めるには、届け方の工夫が必要です。
・言葉を変えて伝えてみる
・導入部分は“ニーズ寄り”にして、本質はその中で実現する
・セット商品にして両方を提供する
たとえば、私たちが「生成AIの活用支援」を始めたときも、最初から「AI導入支援」という形では売れませんでした。
そこで、「業務の時間が足りない」「事務負担が大きい」という悩みに対して、「それ、AIで半分になりますよ」と切り口を変えてみたのです。
結果、ニーズのある課題解決を入り口に、本当に提供したかった価値を届けることができました。
“やりたいこと”を諦めるのではなく、“伝え方”を変えること。
これが、想いとニーズの重なりを見つけるヒントだと思います。
「売れること」は、やりたいことを続けるための土台
どれだけ情熱を持っていても、継続できなければ意味がありません。
事業は続けてこそ、価値が出ます。
だからこそ、私は「売れること」「選ばれること」も立派なスキルであり、使命だと考えています。
一見、自分の理想から離れて見えるようなサービスも、それによって経営が安定し、リソースに余裕ができることで、より本質的な活動に時間と力を注げるようになります。
「やりたいことを貫くために、売れるものも大切にする」
このバランス感覚を持つことが、長く事業を続けるためには欠かせないと実感しています。
理想と現実を、対立させない
最後に、私はこう考えています。
「理想と現実は、ぶつけるものではなく、つなげるもの」
理想だけを追いかければ、空回りしてしまう。
現実ばかり見ていると、自分を見失ってしまう。
だからこそ、目の前のニーズに応えながら、少しずつ理想を織り交ぜていく。
その積み重ねが、“提供したいもの”を“求められるもの”に育ててくれるのだと思います。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
あなたが今提供しているサービスは、どんな価値を届けていますか?
そして、どんな理想を持ってスタートしたのでしょうか?
その2つを、うまくつなげていけるようなヒントになれば嬉しいです。