社長ブログ

第七十四回:言いづらいことを伝える勇気が、信頼をつくる

仕事をしていると、「本当は言った方がいいけれど、言いづらいな…」という場面に出会うことがあります。

たとえば——
・パートナーの納品が基準に満たなかったとき
・チームメンバーの姿勢に違和感を覚えたとき
・お客様の依頼内容に懸念があるとき

こうしたときに、あえて言葉にすること。
それはとても勇気のいる行為です。

でも私は、この「言いづらいことを、あえて伝える勇気」こそが、信頼関係を深め、組織や事業を健全に育てる土台だと信じています。

「言わない優しさ」は、本当の優しさか?
かつての私は、相手との関係を壊したくないという気持ちから、「まあ、今回はいいか」と流してしまうことが多くありました。

でも、後になって思うのです。

「そのときに、ちゃんと伝えておけばよかった」と。

結局、言わなかったことが原因で、
・誤解が広がる
・不信感が生まれる
・仕事のクオリティが落ちる
という結果を招いてしまうのです。

そのときは衝突を避けられたとしても、あとになって関係が壊れる。
これは、非常に不健全な優しさです。

本当に相手を思うなら、勇気を持って言葉にする。
私は、そういうコミュニケーションを大切にしたいと考えるようになりました。

「伝え方」次第で、人間関係は壊れない
もちろん、「言いづらいこと」を伝えるにはコツがあります。

・感情ではなく、事実を伝える
・評価ではなく、観察から話す
・相手の人格を否定せず、期待を添える

たとえば、
「この資料、ちょっと雑ですね」ではなく、
「この部分の数字、少しずれていたのですが、確認をお願いできますか?」
というように、“伝えたいこと”は変えずに、“伝え方”を丁寧にするだけで、受け取られ方がまったく変わります。

言いにくいことこそ、言葉を尽くす。
その誠意が、信頼を生むのだと実感しています。

「嫌われること」より、「すれ違うこと」の方が怖い
私たちは「言ったら嫌われるかもしれない」と恐れがちですが、私は「言わなかったことで関係がズレていくこと」の方が怖いと感じています。

特に、社内チームや取引先との関係では、最初は小さなズレでも、何も言わずに放っておくと、それがやがて“溝”になります。

・あの時、言ってくれればよかった
・なぜ黙っていたのか
・信用されていなかったのかもしれない

そんな誤解を生まないためにも、「ズレた瞬間に伝える勇気」を持ちたいのです。

言う側の誠実さ、受け取る側の懐の深さ
伝える勇気が必要なように、受け取る側にも“聞く勇気”が必要です。

私自身、社内で指摘を受けたり、お客様からご意見をいただくこともあります。
そのとき、「言ってくれてありがとう」と言えるかどうか。
一瞬ドキッとしても、受け止める覚悟があるかどうか。

チームや関係性が成熟していくためには、
・伝える側の誠実さ
・受け取る側の懐の深さ
この両方が欠かせないと感じています。

言いづらいことこそ、「信頼しているから言う」
「本当のことを言ってくれる人は、ありがたい」
これは、私が尊敬する経営者の言葉です。

自分にとって耳が痛いことを、勇気を持って言ってくれる人。
そういう人を、私は信頼しています。

だからこそ、私も「この人と、長く良い関係を築きたい」と思える相手に対しては、あえて伝えるようにしています。

言いづらいことを言うのは、「信頼しているから」。
この前提をもって伝えれば、きっと伝わると信じています。

「本音を伝えられる組織」は、強い
最後に、組織づくりの観点でもお伝えしたいのが、
「言いづらいことが言える文化」こそが、強いチームをつくるということです。

間違っていたら指摘できる。
違和感があれば口にできる。
意見の違いがあっても、それを乗り越えられる。

そうした“健全な衝突”を許容できる環境は、結果として、信頼と心理的安全性を育てます。

「言いたいことを我慢している組織」は、やがて崩れていきます。
だからこそ私は、「言いにくいけど、大事なこと」こそ大切に伝えていきたいと思っています。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

言葉にするのは、勇気がいります。
でも、その一歩が信頼を深め、関係を育て、組織や事業を前に進めてくれると信じています。

あなたは、誰に「言いづらいこと」を伝える勇気を持ちますか?

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