社長ブログ

第七十二回:「決断するのが社長の仕事」――迷いを受け止め、前に進める力

経営をしていて、誰しも一度は思うことがあるのではないでしょうか。
「自分の決断で、すべてが変わってしまう」
「正解がわからない中で、どう決めればいいのか」
プレッシャーに押しつぶされそうになることもあります。
私自身、何度も決断を迫られ、そして迷い、悩んできました。
それでも、最終的に決めるのは“社長の仕事”だと、今では腹をくくっています。
今日は、経営者としての「決断」について、私なりの考えを綴ってみたいと思います。

「迷い」は悪ではない。むしろ健全なプロセス
社長というと、「即断即決」「決めたら迷わない」そんなイメージを持たれがちですが、私はそうは思いません。
むしろ、迷うのは当たり前です。
なぜなら、社長が決断する場面は、ほとんどが“グレーな領域”だからです。

・どちらにもメリット・デメリットがある
・判断材料がすべて揃っていない
・人の感情や関係性も影響してくる

こうした複雑な状況の中で、「最善」を選ぶのではなく、「最終的に進む道」を決めるのが、社長の役割です。
つまり、「迷わないこと」ではなく、「迷いの中で決めること」こそが大切なのです。

「判断の責任」を引き受ける覚悟
社長が決断するということは、その判断によって起きるすべての結果を“引き受ける”ということです。

・業績が下がるリスク
・社員の反発
・お客様との関係変化
・社内のモチベーションへの影響

これらすべてに対して、「自分が決めたから、すべて受け止める」という覚悟を持つ必要があります。
でもそれは同時に、「周囲の迷いや不安を肩代わりしてあげること」でもあるのです。
経営陣やスタッフが迷っているときに、
「自分が決めたから、もう進んでいいよ」と背中を押せる人が、社長です。

完璧な決断より、前に進める決断を
私が意識しているのは、「正解を探す」よりも「前に進める決断をする」ことです。
経営には、完璧な答えなんてありません。
「やってみないとわからない」が前提です。
だからこそ、迷ったときは、以下のように考えます。

・今この段階で、何が最も重要な基準か?
・この選択で、誰が一番助かるか?
・最悪のケースが起きたとして、自分はその責任を取れるか?

こうした問いを通して、「今、ここで出せる最良の決断」を選びます。
そして一度決めたら、腹をくくって進む。
たとえあとから修正が必要になっても、「決めたことを行動に移した経験」こそが、チームの前進を生むのです。

「決めない社長」は、チームを迷わせる
私が過去に失敗した経験のひとつに、「決めるべきことを先延ばしにしたこと」があります。
A案とB案で迷いすぎて、判断を保留。
結果、現場は両方の準備を並行で進め、負荷が倍に。
結局どっちも中途半端になり、信頼を損ねてしまいました。
このとき、私は痛感しました。

「決断をしないこと」が、一番の混乱を生む。
社長が決めない限り、現場は動けません。
期待を裏切らないように準備はしますが、「どうせまた変わるかも」となると、やる気も落ちてしまいます。
だからこそ、「決断し、責任を引き受ける」ことは、信頼の基盤になるのです。

決断に迷ったとき、私が頼るもの
では、私自身が迷ったとき、何をよりどころにしているかというと、

・自分の“原点”
・チームの“ビジョン”
・お客様の“声”

この3つです。

「自分はなぜこの仕事をしているのか?」
「チームはどこを目指しているのか?」
「お客様は何を一番望んでいるのか?」

この問いに立ち返ることで、数字だけでは見えない“納得感のある決断”ができるようになります。
そして最終的には、「それが自分らしい選択か?」を問い直すようにしています。

社長の決断は「道しるべ」になる
最後に、私はこう思っています。
社長の決断は、会社の方向性を示す“道しるべ”である。
だからこそ、迷ってもいい。
でも、決めなければならない。
そして、決めたなら、進む姿勢を示すこと。
それが、チームを導くリーダーの仕事です。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
あなたの「決断」が、チームを動かし、未来をつくります。
それはきっと、“正解かどうか”よりも、“進む勇気があるかどうか”が問われているのかもしれません。

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