社長ブログ

第七十回:「指揮命令系統」を整えると、組織のストレスは減る

私たちが複数のチームや会社を経営していくなかで、何より意識していることのひとつに「指揮命令系統の明確化」があります。
これは聞こえは堅苦しい言葉ですが、実際には「誰が、誰に、どう伝えるか」を整理することです。

この指揮命令系統があいまいだと、組織はすぐに混乱します。
逆にここが整理されているだけで、意思疎通のストレスが格段に減ります。
今日は、事業をスムーズに進めるために欠かせない「指揮命令系統」の考え方と、私たちが実践している工夫についてお話ししたいと思います。

指揮命令系統がぐちゃぐちゃな組織ほど、疲れる
ひとり会社や少人数チームでは、「みんなで話し合って決めよう」「思った人が言えばいい」という進め方でも、なんとか回ります。
でも人が増えてくると、そうはいきません。
・AさんとBさんから違う指示が飛んでくる
・誰の指示を優先すべきかわからない
・責任の所在があいまいで、何かあるたびに人のせいになる

こういう環境にいると、メンバーのストレスはどんどん積み重なります。
そして、「だったら自分から動かない方が楽だ」と、指示待ち文化ができあがってしまいます。
組織のスピードが鈍化し、トラブルの火種が増え、「報連相」が形骸化する…。
こうならないために、指揮命令系統は“意図的に”整えていく必要があるのです。

「報告先」と「命令元」を分けない
私が心がけているルールのひとつが、「命令する人と、報告を受ける人を一致させる」ことです。
たとえば、
– 仕事の指示はマネージャーから出す
– 進捗報告も、マネージャーに返す
こうしておけば、「言った・言わない」のトラブルも減りますし、現場の混乱も防げます。

逆に、社長や役員が現場に直接指示を出すと、マネージャーの立場が弱くなり、組織としての統制が効かなくなってしまいます。
トップが現場に言いたいことがあるなら、「マネージャーを通して伝える」のが基本。
これができるだけで、「自分の役割が何か」「誰に従えばいいのか」が、チームの中ではっきりします。

「好き嫌い」でなく「ラインで判断する」
ありがちなケースとして、メンバー同士の距離感が近すぎると、「上司よりも、話しやすい先輩に相談してしまう」「仲良い人の指示を優先してしまう」といった場面が起こります。
人間関係が良好なのはいいことですが、それが組織の機能を阻害するのは本末転倒です。
だからこそ、どんなにフラットな文化を志向していても、「指揮命令系統上のライン」は崩さないことが重要です。
「報告・相談は、まず自分の上司に」
「指示を仰ぐときは、ラインを飛ばさない」
このあたりを徹底しておくことで、情報の錯綜や責任の所在不明を防げます。

「責任の持ち場」を明確にする
指揮命令系統が曖昧だと、結局は“誰も責任を取らない”という状況になりがちです。
「自分の判断でやったけど、上司は知らなかった」
「上から言われたのでやったけど、内容は理解していない」
こんな場面が繰り返されると、組織の信頼は失われていきます。
だからこそ、私たちのグループでは、
– 誰がその業務の責任者か
– 誰に報告するのか
– 誰が最終判断を下すのか

このラインを必ず最初に確認するようにしています。
責任の所在が明確になると、現場は安心して動けます。
そして、トラブルがあっても、建設的な振り返りができるようになります。

フラットさと明確さは、両立できる
「うちは上下関係をなくして、フラットな組織を目指しているから、指揮命令系統なんて窮屈だ」と言う方もいます。
でも、私はこう思います。
フラットであることと、指揮命令系統が曖昧であることは、全く別の話です。
・対等に話し合う文化
・年齢や肩書きに関係なく意見を言える風土
・誰でも改善提案できる雰囲気

こうした“心理的安全性”はとても大事です。
でもそれは、「誰の指示に従うかが不明確な状態」を許容することではありません。
むしろ、指揮命令のラインが明確にあるからこそ、現場は安心してチャレンジできます。
失敗しても、支えてくれる「役割」があるからです。

組織は“迷わないこと”が大事
結局のところ、指揮命令系統を整える目的はただひとつ。
「みんなが迷わずに動ける環境をつくる」ことです。
誰に聞けばいいのか、誰が最終判断するのか、どこまで任せていいのか。
この“迷い”が少ない組織は、スピードが速く、ミスが少なく、そして働きやすい。
指示系統が整っていると、組織は静かに、でも確実に強くなります。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
もし「最近、チームがバタバタしているな」と感じている方がいれば、
もしかしたらその原因は、「誰が何を決めるのか」が曖昧になっていることかもしれません。
指揮命令系統の見直しは、組織にとっての“基礎工事”です。
目立たないけれど、土台を支える大切な仕事。
一緒に取り組んでいきましょう。

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