社長ブログ

第九十二回:「もったいない」で続けた結果、失ったもの

経営をしていると、「もったいない」という言葉が、何度も頭に浮かびます。

ここまで時間をかけてきた。
お金も使ってきた。
関わってくれた人もいる。

簡単にやめてしまうのは、なんだか申し訳ない気がする。
僕自身、何度もそう感じてきました。

――――――――――――

正直に言うと、心のどこかでは
「もう限界かもしれない」と分かっていたことが何度もあります。

成果が出ていない。
手応えもない。
やるたびに、気持ちが重くなる。

それでも、
「ここでやめたら、今までが無駄になる」
そんな思いが、決断を鈍らせていました。

――――――――――――

「もったいない」という言葉は、
一見すると努力を大切にしているように聞こえます。

でも実際には、
過去に縛られている状態であることも多い。

すでに使ってしまった時間やお金は、
どんなに悩んでも戻ってきません。

それなのに、その過去を理由に、
未来の判断まで縛ってしまう。
今振り返ると、とても危うい状態だったと思います。

――――――――――――

「もったいない」で続けた結果、
失ったのは、時間やお金だけではありませんでした。

一番大きかったのは、
自分の判断力だったと思います。

本来なら立ち止まって考えるべき場面で、
「続ける理由」を探すことに
頭を使ってしまっていた。

違和感にフタをして、
自分を納得させる言い訳ばかりを
上手につくるようになっていました。

――――――――――――

自分だけなら、まだよかったかもしれません。
でも、その判断に付き合わされる周りの人もいました。

成果が出ないことに気づきながら、
前向きなふりをさせてしまう。

「もう少しだけ頑張ろう」という言葉で、
気持ちを消耗させてしまう。

今思えば、あれは優しさでも責任感でもなく、
ただの決断の先延ばしでした。

――――――――――――

勇気を出してやめた時、
一番最初に感じたのは後悔ではありませんでした。

不思議なことに、
肩の力が抜けた感覚でした。

「ああ、もう無理をしなくていいんだ」
そう思えた瞬間でした。

――――――――――――

経営をしていると、
やめる=失敗
と思われがちです。

でも僕は今、
やめることは立派な経営判断だと思っています。

むしろ、やめ時を見誤る方が、
傷は深くなります。

続ける覚悟と同じくらい、
やめる覚悟も必要です。

――――――――――――

もし今、
「もったいない」という言葉が
頭に浮かんでいるなら、
一度だけ問い直してみてください。

これは、未来のための判断か。
それとも、過去を正当化するための判断か。

答えは、意外とシンプルなことが多いです。

――――――――――――

「もったいない」で続けた結果、
確かに失ったものはありました。

でも同時に、
判断力や基準、
違和感を大切にする感覚は、
しっかり残りました。

経営は、
常に正解を積み重ねる仕事ではありません。

間違えながら、修正しながら、
少しずつ自分の軸をつくっていくものだと思います。

――――――――――――

今なら、あの時の自分にこう言います。

「それ、もう十分やった」
「もったいないって思えるくらい、ちゃんと向き合った」
「次に進んでいい」

もし今、同じようなところで悩んでいる人がいたら、
この文章が、ほんの少しでも背中を軽くするきっかけになれば嬉しいです。

TOP