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第五十五回:紹介が生まれる組織づくりの秘密

「うちの会社は紹介が多くて助かっています」

そう言える経営者は、きっと社内外に信頼のネットワークを築けている方です。紹介が自然に発生するというのは、ただ運がいいわけではなく、確かな理由があります。そしてそれは、経営の工夫次第で誰でもつくり上げることができるのです。

私たちも、創業期こそ飛び込み営業や広告に頼っていましたが、徐々に紹介だけで事業が回るようになりました。今回は、その過程で気づいた「紹介が生まれる組織」のつくり方についてお話しします。

紹介が生まれる組織には共通点がある

まずお伝えしたいのは、「紹介」は偶然ではないということです。紹介が発生する組織には、いくつかの共通点があります。

1つ目は、「社内の人間関係が良いこと」です。社内がギスギスしていたり、上司が部下に圧をかけていたりするような職場では、外部に会社のことを勧めようとは思いません。人は、自分が心から良いと思っているものしか勧めないのです。

2つ目は、「サービスや商品の価値が明確であること」です。よくあるのが、「いい会社なんだけど、何をやっているか説明しにくい」というケースです。紹介する側としては、相手にうまく伝えられなければ紹介しづらくなります。だからこそ、自社の提供価値は常に言語化し、整理しておく必要があります。

3つ目は、「信頼が積み上がっていること」です。これは社外にも言えることですが、何よりも社内からの信頼が紹介の起点になります。社員が「うちの会社は信用できる」「安心して紹介できる」と思えているかが、最も重要な土台です。

社員が“応援者”になる組織づくり

私は経営者として、「社員がファンになる会社」を目指しています。社員が会社のことを家族や友人に誇れる、そんな会社です。

そのために意識していることがいくつかあります。ひとつは、理念やビジョンをしっかり共有すること。理念に共感している社員は、自然とその世界観を他者に伝えたくなります。ビジョンが曖昧だったり、口先だけのものであれば、誰も動いてくれません。

また、日々の関わりの中で、社員一人ひとりの存在をちゃんと認めることも大切にしています。「〇〇さんがいてくれて助かった」「あなたの工夫でお客様が喜んでいたよ」そんな一言があるだけで、社員のやる気は全く変わってきます。

紹介とは、信頼と満足の積み重ねから生まれる副産物です。社員が「この会社で働いていてよかった」と思えれば、その声が外にも自然と広がっていくのです。

紹介が増えると組織が強くなる

紹介でつながる人には、共通の価値観があります。紹介者を通じて、ある程度フィルターがかかっているため、文化のミスマッチが起きづらいのです。これは採用においても顕著です。

紹介経由で入社した人は、定着率も高く、活躍する確率も高いと感じています。なぜなら、紹介してくれた社員自身が「この人なら合う」と判断しているからです。

また、お客様の紹介も同じです。信頼関係のある方からの紹介であれば、初回から深い話ができ、成約までのスピードも早まります。そして何より、お互いに良好な関係が築きやすいのです。

紹介を仕組みにする

最後に、紹介を“再現可能な仕組み”にすることが、経営の鍵になります。

「紹介してください」と口で言うのではなく、「どうすれば紹介しやすくなるか」を考えること。紹介カード、実績資料、ストーリーブック、Webの導線、SNSの投稿…紹介する側の“負担”を減らす仕掛けをつくることで、紹介のハードルは一気に下がります。

そして、紹介があったときには、感謝を必ず形にしましょう。特別な報酬ではなくても、真心を込めた「ありがとう」や社内での表彰で十分です。紹介した人が喜んでくれれば、また次の紹介につながります。

最後に

紹介が多い会社は、信頼されている証拠です。信頼は一朝一夕では築けませんが、コツコツと日々の積み重ねによって、必ず生まれてきます。

紹介が自然と広がる組織。それは、お客様にも社員にも、誠実であることの結果です。

そんな組織を、これからも一緒につくっていきたいと考えています。

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