社長ブログ

第八十一回:挑戦する文化をどう育てるか

会社を経営していると、日々いろんな壁にぶつかります。
新しいことに挑戦しようとすれば、必ず「できるのか?」「失敗したらどうする?」という声が上がります。
それは社員からだけではなく、自分の中にもある不安です。
けれど、その不安を乗り越えてこそ、組織は成長できると感じています。

私はこれまで、いくつもの事業を立ち上げてきました。
成功も失敗も数え切れないほど経験してきましたが、共通して言えることがあります。
それは、「挑戦する文化」がある組織は、どんな状況でも前に進めるということです。
仕組みや制度以上に、“空気”が人を動かします。
そして、その空気をつくるのは、経営者の役割です。


挑戦とは特別なことではない

挑戦という言葉を聞くと、多くの人は「新しい事業」や「大きな改革」を思い浮かべます。
ですが、実際に大切なのは、もっと小さな一歩です。
「昨日より少し早く終わらせてみよう」「今までと違う方法を試してみよう」
そんな日常の中の小さな工夫こそが、挑戦の原点だと思います。

会社が変わるのは、特別な誰かが現れる瞬間ではありません。
社員一人ひとりの「小さな変化」が積み重なったときです。
だからこそ、経営者がその一歩を認め、評価することが重要です。
「やってみたね」「その発想いいね」と声をかけるだけでも、
挑戦の芽は確実に育ちます。


挑戦を止めるのは「失敗を恐れる空気」

かつて私は、「ミスを減らす」ことを最優先にしていました。
品質を保つためには当然必要な意識ですが、
その考えだけを追い続けていると、社員は“安全な範囲”でしか動かなくなります。
結果として、誰も新しいことを言わない、やらない組織になってしまう。

挑戦の文化を壊す最大の敵は、「失敗=悪」という固定観念です。
経営者がその考えを変えなければ、社員は安心して行動できません。
私は失敗した社員に対して「なぜそうしたのか」を必ず聞くようにしています。
結果よりも“考えたプロセス”を尊重する。
そうすることで、社員は次に自ら工夫するようになります。
挑戦とは、成功の連続ではなく「改善の連続」です。


経営者が挑戦する姿を見せる

挑戦の文化は、上から命令してつくるものではありません。
しかし、上から始まるものだと思います。
社長が守りに入れば、社員も守りに入ります。
逆に、社長が動けば、社員も自然と動きます。
トップが一番の挑戦者であることこそが、最も強いメッセージになります。

私自身、常に新しいことを取り入れるようにしています。
AIツールを試してみたり、SNS発信に挑戦したり。
「やったことがないけど、まずやってみよう」
この姿勢を見せることが、挑戦の文化づくりの第一歩です。
経営者が挑戦している姿を社員が見れば、
「自分もやっていいんだ」と安心して動けるようになります。


仕組みと称賛で文化を根づかせる

挑戦の文化を定着させるには、精神論だけでは不十分です。
大切なのは、挑戦を仕組みにすることです。
例えば、社内で新しいアイデアを提案できる制度をつくる。
あるいは、小さな改善を共有できる場を設ける。
こうした“仕組み”があるだけで、挑戦へのハードルはぐっと下がります。

もう一つ意識しているのが、挑戦を称賛することです。
結果を出した人だけでなく、行動した人を認める。
「挑戦した回数を誇れる会社」にしたいと思っています。
挑戦を笑うのではなく、挑戦を讃える。
その空気が生まれたとき、組織は一気に変わります。


中小企業だからこそ挑戦しやすい

挑戦という言葉を聞くと、大企業の方がリソースがあると思われがちです。
しかし実は、中小企業の方がずっと挑戦しやすい。
意思決定が速く、実行までの距離が近い。
小さな改善でもすぐに結果が見えます。
この「スピード」こそが中小企業の最大の強みです。

挑戦する文化は、資金力ではなく意識の積み重ねでつくられます。
そしてそれを形にするのは、経営者の覚悟です。
「挑戦しよう」と言うだけではなく、
挑戦した人を守り、応援する覚悟を持てるかどうか。
その姿勢こそが、文化を決定づけます。


終わりに:挑戦を“日常”に

挑戦する文化は、一朝一夕では生まれません。
ですが、時間をかけてでも育てる価値があります。
挑戦が日常になれば、会社は常に成長し続けます。
逆に、挑戦をやめた瞬間に、会社は止まってしまう。

経営とは、変化を受け入れ、未来を描くこと。
挑戦する文化を育てることは、
社員一人ひとりに「未来を描く力」を与えることです。
その積み重ねが、必ず組織の強さにつながります。


まとめ

挑戦する文化を育てるために、私が大切にしている5つのこと。

  1. 小さな一歩を認める

  2. 失敗を学びに変える

  3. トップが挑戦する

  4. 仕組みで支える

  5. 挑戦を称える

このサイクルを止めずに回し続けること。
それが、どんな中小企業でも実現できる“挑戦の土壌”です。

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