社長ブログ

第八十二回:数字だけでは測れない成果とは

経営をしていると、つい「数字」に目が行きがちです。
売上、利益、契約数、フォロワー数。どれも大切な指標です。
数字は組織の現状を“見える化”してくれる、経営の羅針盤のような存在だからです。

しかし、私はここ数年、数字だけを追い続ける危うさを強く感じています。
なぜなら、数字は「結果」を表すものであって、「価値」そのものを表すものではないからです。
そして、多くの経営課題は、数字に現れない部分にこそ根があります。


数字は“結果”、文化は“原因”

たとえば、ある時期に売上が伸びたとします。
でも、その裏に「社内の雰囲気が悪くなっていた」「現場が疲弊していた」
という現実があったらどうでしょうか。
数字上は好調に見えても、それは一時的な“見かけの成果”に過ぎません。

逆に、数字が落ちているときでも、
社員が新しい挑戦を始めていたり、
お客様との関係が深まっていたりすることがあります。
それは“まだ形になっていない成果”であり、未来への投資です。

経営者として大切なのは、数字の奥にある“原因”を見極めることです。
業績を支えているのは、戦略や広告費ではなく、
結局は「人」と「文化」です。


数字では見えない「信頼」という成果

数字で測れないものの代表が、「信頼」です。
取引先との信頼、社員同士の信頼、
そして経営者と社員の信頼。

これは一朝一夕で築けるものではありません。
誠実に対応し続けた日々の積み重ねが、やがて大きな信頼を生み出します。
信頼がある組織は、困難な局面でも折れません。
数字が落ち込んだときこそ、信頼の力が組織を支えます。

信頼は「売上」や「契約数」では測れません。
でも確実に、業績の“土台”になっている。
だから私は、どんなに忙しくても人との関係を丁寧に築く時間を大切にしています。
たとえ短期的な利益を逃しても、
信頼を積み重ねた先には、必ず継続的な成果が生まれるからです。


成長は「スキル」より「姿勢」で測る

もう一つ、数字に表れにくい成果が「人の成長」です。
社員がどんなスキルを覚えたか、
どんな資格を取ったかももちろん成果ですが、
本当に大切なのは「考え方」や「姿勢」の変化です。

「報告が早くなった」「相手の立場で考えるようになった」
「失敗を隠さず話せるようになった」
こうした変化は、どんな数字よりも価値があります。

私は社員と話すとき、結果よりもプロセスを聞くようにしています。
その人が何を感じ、どう考え、どう行動したか。
その一つひとつに、成長の“芽”が隠れているからです。

会社は“成果”で評価されますが、
“成長”によって未来が変わります。
だから私は、数字よりも人の変化を見逃さないようにしています。


数字を超える「誇り」という成果

もう一つ、経営をしていて強く感じるのは、
人は数字よりも「誇り」で動くということです。

「自分の仕事が誰かの役に立っている」
「チームの一員として信頼されている」
そう感じられたとき、人は数字以上の力を発揮します。

ネクストグループの理念の一つに、
“縁の下の力持ちであることを誇る”という考えがあります。
表に出るのはクライアント様であり、
私たちはその裏側を支える存在です。
ですが、その裏方の力が社会を動かしているという誇りが、
私たちのモチベーションになっています。

数字に表れない「誇り」は、
会社のエネルギーを高める最強の燃料です。
誇りを持てる仕事が増えれば、
結果として数字もついてくる。
この順番を間違えないようにすることが、
経営者の大切な役割だと思います。


経営者が見るべき“二つの成果”

経営者として意識すべき成果は、
「数字で見える成果」と「数字では見えない成果」、この二つです。
前者は短期的な評価に役立ち、後者は長期的な価値を生みます。
どちらか一方ではなく、両輪で見ていくことが大切です。

会議で数字を確認するのと同じくらい、
社員の成長やチームの雰囲気を見つめる時間を持つ。
それができる経営者こそ、組織を長く続けられる人だと思います。


おわりに:見えない成果を見よう

数字は、努力の証です。
しかし、数字だけが成果ではありません。
そこに至るまでの「人の変化」や「信頼の積み重ね」、
「挑戦の回数」「笑顔の数」も、すべて成果です。

経営は、数字を追う仕事ではなく、
数字の裏にある人の努力を見抜く仕事です。
見えない成果を大切にできる組織は、
どんな時代でも成長し続けます。


まとめ

数字で測れない成果とは、

  • 信頼

  • 成長

  • 誇り
    の3つだと、私は考えています。

これらを丁寧に育てることが、
数字以上に価値ある“本当の成果”につながっていきます。

TOP