社長ブログ

第八十五回:売上より大事な“事業構造”という視点

事業を続けていると、「売上を上げたい」という相談を本当に多くいただきます。
もちろん売上は大切です。会社を動かす血液のようなものですし、売上がなければ事業は続きません。しかし、私がいつもお伝えしているのは、「売上よりも先に見るべきものがある」ということです。

それが “事業構造” です。

売上は結果でしかありません。
一方、事業構造は「結果を生み出す仕組み」です。
ここを整えずに売上だけを追いかけると、短期的には伸びても、長続きしないことがほとんどです。

■ 売上だけを見ると事業が危うくなる理由

売上は、外部環境や一時的な施策で簡単に上下します。

・広告をかければ一時的に伸びる
・話題性のあるキャンペーンで数字が動く
・人を増やせば業務量は拡大する

しかし、その裏側に事業構造が整っていなければ、伸びた売上に組織が耐えられないことがあります。

・利益が残らない
・人手不足で品質が落ちる
・社長やスタッフが疲弊する
・仕組みがないから再現性がない

中小企業にとってこれは致命的です。
だからこそ、「売上が上がった/下がった」に一喜一憂する前に、
事業の“設計図”そのものを見直す必要があります。

■ 事業構造とは何か?

私の定義では、事業構造とは次の5つです。

1. 商品(価値)
2. 顧客(ターゲット)
3. 導線(マーケティング)
4. 提供体制(オペレーション)
5. 収益モデル(利益設計)

この5つが噛み合っているかどうかで、事業の持続性は決まります。

例えばSNS代行のサービスひとつをとっても、

・誰向けのどんな価値か
・どうやって申し込みまで案内するか
・制作体制はどれほど耐久力があるか
・利益率はどれくらいか

これらが噛み合っていなければ、売れても苦しくなります。
逆に、構造が整っていれば売上は後から自然と伸びていきます。

■ 売上を追わずに“構造”を整えた方が伸びる理由

事業構造を整えるメリットは大きく3つあります。

① 再現性が生まれる
SNSの数字も広告の成果も属人的ではなくなり、誰がやっても同じ結果が出るようになります。

② 利益率が安定する
売上がブレても、利益が安定して残るようになります。
中小企業にとって“利益の安定”は最重要です。

③ 社長や社員の負荷が減る
無理な売上追求は、人も組織も壊します。構造が整えば「頑張り」で押さえつける必要がなくなります。

■ よくある“崩れる事業構造”のパターン

□ パターン1:商品がわかりにくい
□ パターン2:導線が整っていない
□ パターン3:提供体制が弱い

■ 砂川が大切にしている順番

① 価値(商品)
② 仕組み(提供)
③ 導線(マーケ)
④ 数字(売上)
⑤ 拡大(採用・外注)

多くの会社は①と④を入れ替えてしまいます。
すると、価値や提供体制が整っていないのに拡大し、回らなくなるのです。

私は逆です。
価値を磨き、提供体制を整え、導線を作ってから売る。
この順番が、事業を長く続けるための最短ルートです。

■ “売上が伸びない時こそ”チャンス

売上が伸び悩むのは、事業構造を見直す絶好のタイミングです。

・商品を見直す
・ターゲットを狭める
・導線を整える
・提供体制を強化する
・利益構造を組み直す

この一つひとつが、長期の成長を支えます。

■ 最後に──“強い会社”は構造で勝っている

強い会社は、売上の数字ではなく、その裏側にある構造が圧倒的に強いです。
構造が強ければ売上は自然とついてきます。
逆に構造が弱いまま売上だけ伸ばすのは危険です。

北海道の現場時代から、「仕組みがない苦しさ」を身をもって経験してきました。
だから私はどんな事業でも “構造がすべて” だと確信しています。

まず「売上」ではなく「構造」を見る。
それが、次の一手をつくる視点になります。

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