社長ブログ

第八十六回:“忙しい社長”ほど会社が伸びない理由

中小企業の経営者と話していると、「とにかく忙しい」「現場が回らないから、自分が入るしかない」と言う方が本当に多くいます。忙しいこと自体は悪いことではありません。しかし、忙しさの“質”を間違えてしまうと、会社の未来がどんどん削られてしまいます。

実は、会社が伸びない最大の原因は、“社長が忙しすぎること”にあります。
そしてその忙しさの多くは、本来やるべきではない仕事に時間を使っていることに起因しています。

会社を伸ばすには、社長が「未来をつくる仕事」に集中しなければいけません。
現場に入れば、短期的には安心ですが、長期的には会社の成長が止まります。

■ なぜ“忙しい社長”ほど会社が伸びないのか?

理由は大きく3つあります。

① 現場に入ると“ボトルネック化”する
社長が毎回判断しなければ進まない。
これだけでスピードは半分以下になります。

② 「未来づくり」に使う時間がゼロになる
社長しかできない仕事は、本来すべて“未来の仕事”です。
戦略、採用、組織、資金、商品開発…。
これらが後回しになれば、会社は必ず衰えていきます。

③ 社員が育たない
社長が現場に入るほど、社員の成長機会が奪われます。
結果として「社長がいないと回らない会社」になり、
いつまで経ってもラクになりません。

つまり、“忙しい社長”というのは
「会社を成長させる力を自ら奪っている状態」なのです。

■ 社長が抜けるためのステップ

ではどうすれば、社長が現場から抜け、未来の仕事に集中できるのでしょうか。
私はこれまで多くの企業を見てきて、共通する“抜け方”のステップがあると考えています。

【STEP1】仕事を全部書き出す
まずは、社長が日々やっている仕事をすべて書き出します。
重要なのは、“細かい仕事も全部”です。

【STEP2】やらなくていい仕事を削る
意外と多いのが“やる必要のない仕事”です。
社長が「癖」でやっている仕事は本当に多い。

【STEP3】任せられる仕事を委任する
80点でOKの仕事は、全部任せる。
完璧主義を手放すことが最重要です。

【STEP4】仕組み化して再現性をつくる
任せて終わりではなく、仕組み・マニュアル・フローを作る。
属人化をなくすのがポイントです。

【STEP5】社長の仕事を“未来だけ”に寄せていく
最終的には、社長の時間を未来の仕事に全集中させます。

■ 手放す技術とは何か?

社長が一番苦手なのが“手放す”ことです。
理由は3つあります。

・自分がやった方が速い
・任せてミスされるのが怖い
・社員に迷惑をかけたくない

しかし、この3つを乗り越えなければ、会社は絶対に伸びません。

手放しの技術とは、

・80点を許容する
・仕組みに任せる
・育つ時間を与える
・ミスを許す文化をつくる

という「経営姿勢」のことです。

■ 最後に

“忙しい社長”というのは、
頑張っているように見えて、一番会社の未来を止めている状態です。

現場を手放し、未来の仕事に集中すること。
これが、会社が安定的に成長していく唯一の道です。

社長が忙しさから解放されたとき、
会社は本当の意味で動き出します。

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