──「時間がない」ではなく「優先順位が低い」と認める覚悟
「忙しいからあとでやる」「今は手が回らない」
経営者として日々多くの決断を迫られる中で、そんな言葉を何度口にしたか、正直覚えていません。
私も以前は、「時間がない」「人手が足りない」「案件が多すぎる」と、つい“忙しさ”を理由に物事を先延ばししていました。
しかしある時、信頼していた経営仲間にこう言われたのです。
「時間がないんじゃなくて、それは今のあなたにとって“優先度が低い”ってことなんじゃない?」
その言葉を聞いて、正直ドキッとしました。
図星だったからです。
「忙しさ」は盾にならない
もちろん、経営者が忙しいのは当たり前です。
事業の売上、採用、顧客対応、チームマネジメント、財務、法務…すべてが同時進行です。
だからこそ、“やらない言い訳”としての忙しさを無意識に使ってしまうことがあります。
でも本来、経営とは「やるべきことを選び、やるべきことから着手する」仕事です。
どれだけ時間が限られていても、「やらなかったこと」には、自分で責任を持たなければいけません。
忙しさを理由に先延ばしした“重要なこと”
私が「忙しい」を言い訳にして、後悔したことがあります。
それは「採用広報」です。
「いつか余裕ができたらやろう」
「今は人を採っても育てられない」
そんなふうに、長らく手をつけていなかったのですが、いざ採用が急務になった時には、候補者に届く発信がまったく整っておらず、採用市場での存在感がゼロ。
結果的に、即戦力人材に出会うまでに多くの時間とコストがかかってしまいました。
振り返ると、あのとき動いていればという後悔ばかりです。
だからこそ、いまは「重要だけど緊急ではないこと」にこそ意識を向けるようにしています。
「忙しい」ではなく「仕組みで解決する」
忙しい状況を乗り越えるためには、「がんばる」ではなく、「構造を変える」ことが必要です。
私が実際に取り組んだことを3つ紹介します。
- 意思決定を分散させる
自分しか判断できない体制から、責任者にある程度の裁量を渡すことで、日常の意思決定の負荷が激減しました。 - 外注やツールに任せる
秘書業務、請求書発行、SNS投稿など、やらなければいけないが“経営者がやらなくていい仕事”は徹底的に外部化しました。 - 予定に“未来投資”を入れる
営業や会議ばかりで埋まるスケジュールではなく、「採用コンテンツ作成」「自社サービスの見直し」など、未来に繋がるタスクをあらかじめ予定に組み込みました。
忙しさは、自分で作り出している
「忙しい」という状態は、外から勝手に降ってくるものではありません。
自分自身の選択、優先順位の結果です。
つまり、“忙しさ”とは、自分で作り出しているものだということです。
だからこそ、「やれなかった」ではなく「やらなかった」と認める。
そして、「何を優先するのか」を問い直す。
これは、経営者としての器が問われる場面でもあります。
忙しさに支配されるのではなく、忙しさを管理する側へ
私たちは経営者として、時間の使い方で会社の未来を決めています。
「やらなかったこと」が将来の機会損失になり、逆に「先に手を打ったこと」が組織の競争力に直結する。
だからこそ、「忙しいからできない」ではなく、
「いまは〇〇を優先する」と、主体的に選ぶ姿勢を持ち続けたい。
経営とは、限られた時間の中で何を選ぶかの連続です。
選び続ける力こそが、会社を次のフェーズに導く鍵になるのだと思っています。