社長ブログ

第六十八回:「頭を下げる勇気」が、信頼を積み重ねる

「経営者たるもの、堂々としていなければならない」
「簡単に謝ったら舐められる」
「弱みを見せたら負けだ」
そんな声を聞いたことはありませんか?

私自身、かつては「頭を下げるのは最後の手段」と思っていた時期もありました。
でも今はむしろ逆です。
「自分の非を認め、頭を下げることができる人こそ、本当に強い人だ」と思っています。
今回は、「頭を下げる勇気」について、私自身の経験も交えながらお話させていただきます。

「謝る」=「負け」ではない
ビジネスにおいて、ミスやトラブルは避けられません。
どれだけ注意をしていても、すれ違いや手違いは起こるものです。
そんなとき、大切なのは「何が起きたか」ではなく「その後どうするか」です。

・言い訳せずに謝れるか
・責任を押しつけずに向き合えるか
・再発を防ぐ行動ができるか
ここで逃げずに「自分の言葉で、頭を下げる」ことができる人は、周囲からの信頼を失いません。

むしろ「この人は誠実だ」と評価が上がることすらあります。
頭を下げることは、負けではありません。
信頼をつくる“第一歩”なのです。

「ごめんなさい」は“弱さ”ではなく“強さ”の証
私は過去に、あるお取引先に対して納期調整のミスをしてしまい、結果的に先方のスケジュールに大きな影響を与えてしまったことがあります。
原因は、こちらの見積もりの甘さと、コミュニケーションの不足。
その時、私は直接足を運び、真っ先に謝罪しました。
「本当に申し訳ありません」と頭を下げながら、自分の至らなさを痛感したことを覚えています。

でも、その後の先方の言葉が今も忘れられません。
「正直に話してくれてありがとう。人間だから間違うことはある。大事なのは、こうやって誠意を持って向き合ってくれることだよ」
この出来事から私は、「頭を下げることは、強さだ」と実感しました。
プライドを守るために嘘をついたり、逃げたりするのは簡単です。
でも、それでは本当の信頼関係は築けません。

リーダーこそ、頭を下げられる人でありたい
組織を率いる立場になると、「自分が謝るのは格好がつかない」と思ってしまうこともあります。
部下のミスも「責任を取らせなければ」と考えがちです。
でも、本当に大切なのは、「謝罪の文化」をつくることではないでしょうか。
リーダーが頭を下げられない組織では、現場も謝れなくなります。

失敗をごまかす、責任を押し付け合う、誰も本音を言わない——そんな風土になってしまいます。
逆に、トップが自ら頭を下げる姿勢を見せれば、「正直であること」が信頼につながるとチーム全体が理解します。
謝ることは、責任感の表れであり、次に進むためのスタートでもあるのです。

プライドを捨てるのではなく、「本質的な強さ」を育てる
私は、「プライド」と「意地」は似て非なるものだと思っています。

・プライド:誇りを持ち、信念を大切にする
・意地:間違いを認めたくない、自分の非を隠したいという感情

本当のプライドを持つ人は、誠実であることを優先します。
一時のかっこ悪さより、長く信頼されることを選びます。
そして何より、謝罪とは「相手に敬意を示す行為」でもあります。
どんなに立場が上でも、「あなたとの関係を大切にしたい」というメッセージを、頭を下げるという行動で伝えることができます。

謝れる人は、また信頼される
ビジネスの世界では、完璧であることよりも、「信頼できるかどうか」が重視されます。
だからこそ、頭を下げる勇気は、ビジネスにおいて“最強の武器”ともいえるのではないでしょうか。

・素直に非を認める
・相手に誠実に向き合う
・次に生かす姿勢を見せる
これができる人は、どんな立場になっても、周囲から慕われます。

「また一緒にやりたい」と思われる人になります。
私もまだまだ未熟で、至らない点ばかりです。
だからこそ、間違ったときはきちんと謝る。
それを続けることで、信頼を積み重ねていきたいと思っています。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
誰かの信頼を得るために、勇気を出して「頭を下げる」日があってもいい。
そう思える方が、一人でも増えたら嬉しいです。

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