社長ブログ

第110回:「全部を自分で抱える経営」は、どこかで限界が来る

会社を経営していると、

「これは自分がやった方が早いな」

そう感じる場面が本当にたくさんあります。

実際、自分でやった方が早いことも多いですし、クオリティも安定します。

特に立ち上げ期や人数が少ない時期は、経営者自身が前に出て動く必要があります。

営業もやる。
制作も見る。
採用もする。
経理も確認する。

気づけば、ほとんど全部を自分で抱えている。

これは多くの経営者が一度は通る道だと思います。

僕自身もそうでした。

むしろ、「自分が動けばなんとかなる」という感覚で走り続けてきた時期の方が長かったです。

ただ、あるタイミングで気づきました。

「このやり方だと、会社は大きくならない」

ということに。

自分一人で回せる範囲には限界があります。

時間も体力も、使えるエネルギーも無限ではありません。

にもかかわらず、「全部自分でやる」を続けていると、どこかで必ず詰まります。

そして厄介なのが、経営者本人は“頑張れてしまう”ことです。

責任感もありますし、会社を前に進めたい気持ちも強い。

だから多少無理をしてでも動けてしまう。

でも、それを続けていると、徐々に組織が「社長依存」になっていきます。

何かを決めるのも社長。
最終確認も社長。
トラブル対応も社長。

この状態になると、会社の成長スピードは、社長一人のキャパに依存します。

つまり、「社長が止まる=会社が止まる」という状態です。

これはかなり危険です。

なぜなら、会社としての再現性がなくなるからです。

では、どうすればいいのか。

そこで重要になるのが、「自分がやらなくても回る状態」を作ることです。

ここで勘違いしてはいけないのは、「何もしない」という意味ではありません。

経営者の仕事は減らすことではなく、“変えていくこと”だと思っています。

最初はプレイヤーとして動く。
でも、どこかでマネージャー視点を持ち、さらに経営視点へ移行していく必要があります。

いつまでも最前線だけで戦い続けると、会社全体を見る余裕がなくなります。

目の前の仕事には強くても、未来を作る時間が取れなくなるんです。

これは本当にもったいない。

だからこそ必要なのが、「任せる」という考え方です。

ただ、ここで多くの人が間違えるのが、「任せる=放置」になってしまうことです。

以前も感じたことですが、“丸投げ”と“任せる”はまったく違います。

目的を共有する。
基準を合わせる。
途中で確認する。

この工程を飛ばしてしまうと、単なる放置になります。

逆に、ここが整理されていると、人は驚くほど力を発揮します。

そしてもう一つ大事なのが、「最初から完璧を求めないこと」です。

自分が100点でできることを、人に任せた瞬間に80点になる。

これはある意味、当然です。

ただ、多くの場合、その80点を許容できずに「やっぱり自分でやるか」と戻ってしまいます。

でも、それを続けている限り、人は育ちません。

組織も広がりません。

最初は60点でもいい。
まずは、自分以外でも回る状態を作る。

そこから改善していく方が、長期的には圧倒的に強いです。

また、経営をしていて感じるのが、「抱え込み」は視野を狭くするということです。

やることが多すぎると、どうしても目線が短期になります。

今日を回すことで精一杯になる。
目の前のタスク処理に追われる。

その結果、本来考えるべき、

・未来の方向性
・組織設計
・新しい挑戦
・事業の伸ばし方

こういったものに時間を使えなくなります。

でも、本来経営者が最も時間を使うべきなのは、そこです。

「今を回すこと」だけではなく、「未来を作ること」。

ここに時間を使える状態を作らない限り、会社は次のステージに進みにくくなります。

もちろん、全部を手放す必要はありません。

自分がやるべきこともあります。

ただ、「自分しかできないこと」と、「自分じゃなくてもできること」を分ける視点は、かなり重要だと思っています。

この整理ができるだけで、時間の使い方は大きく変わります。

そして結果として、会社の成長スピードも変わっていきます。

最後に伝えたいのは、

「頑張ること」と「抱え込むこと」は違う、ということです。

責任感が強い人ほど、全部自分で背負おうとします。

でも、本当に強い組織というのは、“誰か一人の頑張り”で成り立つものではありません。

役割を分け、信頼し、任せ合いながら回っていくものです。

だからこそこれからも、

「自分がやる」ではなく、
「自分がいなくても回る」

そんな組織づくりを意識しながら、会社を前に進めていきたいと思います。

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